駅ビルのグランドオープンやバスターミナルの開業で注目が集まる新潟駅。ニュースポットでわくわく感を満喫したら、駅を起点に“にいがた2㎞”内の古町エリアまで足を延ばし、港町の風情や人の温もりを感じる商店街で、銘酒と地の肴を昼から味わってみては。
この夏は昼飲み目当てに、本町&古町商店街へ行こう!
駅を出発し徒歩で萬代橋を渡り、柾谷小路をそのまま数分歩くと左手に「ぷらっと本町」の大きな文字が目に入ってくる。
ここは1617(元和3)年に新潟町の発展策として新たな町が建設されてから発展し、“新潟市民の台所”として親しまれる本町市場、正式名は本町六商店街。そして愛称は「ぷらっと本町」。路面店とともに露店が並び、旬の野菜や果物、魚介、加工品、乾物など新潟らしさあふれる食材が勢ぞろいしている。
商店街の中でも、年中無休で昼間から夜遅くまで営業している、食いしん坊&のん兵衛の強い味方が「やきとり横綱」と「新潟本町酒場」の姉妹店だ。
「やきとり横綱」はとり串・ぶた串・野菜串とともに小鉢料理からボリュームたっぷりなつまみやご飯ものまで、誰もが満足できる品ぞろえ。
それらの料理とともに味わえる定番の地酒と、おすすめメニューに書かれた季節限定酒や日本酒サワーなども楽しめる。
アーケードを白山神社方面へ進み、商店街を横切る小原小路を過ぎたところに姉妹店の「新潟本町酒場」がある。
名物は店先で炭火焼きする海鮮焼き。商店街にいい香りを漂わせるにしん焼きや銀鮭塩焼き、しまほっけ焼き、あゆ塩焼きなどの炭火串焼きは、単品でも定食でも楽しめる。
店内では卓上の浜焼きセットもあり、魚介の滋味を感じながら日本酒を堪能できる。こちらも定番の地酒数種類とともに季節限定酒もあるので、おすすめメニューのチェックを忘れずに。
アーケードをさらに白山神社方面へ進み、人情横丁との交差地点にある商店街のシンボル・白龍大権現の手前にあるのが、県内外の観光客や新潟市民から“昼飲みの聖地”と親しまれている「青海(おうみ)ショッピングセンター」。一歩足を踏み入れれば、そこは昼飲みパラダイス。
丼屋でありながら多彩なカップ酒がカウンタ―をにぎわす「丼やいし井」、鮮魚に囲まれた一升瓶がズラリと並ぶカウンターで気軽に鮮魚と地魚が楽しめる「古川鮮魚」、刺し身から揚げ物、焼き漬け、総菜まで、バラエティに富んだ肴が自慢の「鈴木鮮魚」。各店専用のカウンターやテーブルの他、共用テーブルもあるのでグループで盛り上がることもできる。
旬の魚介から肉料理まで、メニュー豊富な「丼(どん)や いし井」で現在力を入れているのが完熟トマトでつくる鶏ベースの「ビルマスープ」。
「トマトが旬のこの季節、ぜひお酒とともに味わってほしいですね」と奥さまの石井房恵さん。
房恵さんは女性による日本酒コミュニティ「にいがた美醸」のメンバーでもあり、新潟の地酒をこよなく愛する一人。房恵さんおすすめの地酒でビルマスープを味わってみたい。
●11時~17時、不定休
丼やいし井と背中合わせの位置にあるのが「古川鮮魚」。この時季は季節ごとに品種が変わる旬の枝豆が入口に鎮座。
通年味わえる佐渡産のバイガイ煮付けが入った大鍋とともに出迎えてくれる。
目の前で新鮮な旬の魚介をさばいてもらい、それをつまみに一杯! 旬のお造りと小鉢とお酒の「ちょい飲みセット」は初心者から通まで満足できる充実度だ。
●10時30分~17時、木曜定休
丼やいし井と古川鮮魚の反対側にある、もう一店舗の鮮魚店が「鈴木鮮魚」。
取材日はサッカーのアルビレックス新潟ホームゲームがあったため、アウェーユニを来たお客さまが観戦前の一杯を、新潟らしさあふれる料理とともに楽しそうに味わっていた。「新潟のアウェーゲームのときはここに来るのが楽しみの一つ」というサポーターも多い。
刺し身の単品から焼き魚、揚げ物、サラダまで。好みの肴をチョイスして新潟の地酒をとことん味わおう。
●9時~17時、木曜定休
鈴木鮮魚のお隣、青海ショッピングセンターの入り口にある中華料理店「鵬龍」でも新潟の地酒を用意しているので、本格中華と日本酒のマリアージュを試してみたい。
青海ショッピングセンターの隣には、ぷらっと本町内のコミュニティスペースとして地酒の会や日本酒セミナーなどを開催する「♯きーぼうdo.」がある。
実は昼から地酒や沼垂ビールなどが味わえる昼飲みスポットでもあるのだ。
店内だけでなく、商店街に面した屋外カウンタ―や店の前のテーブルで、レトロな商店街の雰囲気を味わいつつ、ほろ酔い時間を過ごせるのも魅力。
ぷらっと本町と交差する本町中央市場商店街、通称「人情横丁」。個性的な三角屋根がシンボルの商店街の歴史は戦後に始まる。1951(昭和26)年に新潟市が堀や橋を整備した際に埋め立てられた二番堀に、上本町の露店で鮮魚などを扱っていた約80店舗が土地を借りて建設した商店街。堀の上に立つため、正式な住所がないことでも知られている。
この人情横丁と小路を挟んだ向かい側にあるのが「案山子」。居酒屋探訪家の太田和彦さんも太鼓判を押す、新潟の郷土料理や旬の食材を使った味をしっかりと提供し続けている名居酒屋。
店頭にある赤ちょうちんとその日のおすすめが書かれたボードが目印。現在昼飲みができるのは土曜のみだが、週末の昼飲みをここで過ごせば、本当においしい新潟に出合えることは間違いない。
「焼きなす」という品種のナスを焼く焼きなす(写真)、十全なす漬け、くろさ茶豆、キスなどの旬の魚介の刺し身など、店主の阿部勝也さん手作りの料理はどれも地酒がすすむものばかり。
地酒は定番のほか、阿部さんおすすめの季節限定酒も用意している。
人情横丁から古町通へ移動し、「ふるまちモール6」の愛称で親しまれる古町六商店街へ。
柾谷小路から新津屋小路までの約160mに位置する商店街で、2013年には「新潟市マンガの家」も開館した。
この商店街の昼飲みスポットとして人気を集めているのが2023年2月にオープンした「小皿料理 天(てん)」。その名の通り、小皿でその日おすすめの鮮魚から和洋問わない創作料理までを多種類楽しめるのが魅力。「小皿で、炙りすき焼き」「やみつき豚レバーカツ」などの名物とともに、店主の舘川淳平さんの目利きで選んだ素材を生かした「本日のおすすめ」が、手書きメニューに30品以上並ぶ。
写真は取材日の「刺盛」。〆鯖、茹でタコ、スズキ、タチウオ、ホタテ、マグロ、アジ。
県内定番酒とともに、舘川さんイチオシの県外酒も多いので、旬の味をつまみに新潟清酒との飲み比べを試してみるのも一興だ。
●平日14時~、土・日・祝日は12時~(終了時間は変動あり)、水曜定休(火・木不定休)
ラストにご紹介するのは穴場中の穴場。
古町六商店街と交差する新津屋小路の右側、西堀通に面した西堀6番館ビル1階にある「Kotodama Cafe&chotto Barリタ」。
以前から喫茶店として気になっていたが、喫茶店は喫茶店でも、県内外の日本酒を約30種類そろえ、「お酒のアテセット」や単品などとともに昼から飲めるスポットなのだ。
マスターの竹谷さんが気になっている日本酒をそろえているため、足を運ぶたびに新たな日本酒に出合えるチャンスがある。
そして何よりうれしいのが日本酒の提供方法。メニューには90mlの価格が表記されているが、その半分の“四分の一(しぶいち):45ml”でも注文できる。「少しずつ、いろいろな種類を味わってほしい」という竹谷さんの思いが込められている。
0次会や、日本酒が飲みたい気分のときにふらっと立ち寄りたい魅力あふれる店だ。
商店街の昼飲みスポットといっても多種多様。今回紹介した本町と古町の6番町商店街界隈だけでもこれだけの店がある。全店制覇を目指してみよう。
NIEIL(ニール)
『cushu手帖』『新潟発R』編集長
高橋真理子
cushu.jp
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