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コラム 2022.02.28

にいがた酒旅のススメ〈小千谷市・魚沼市・南魚沼市・湯沢町・十日町市・津南町編〉②ドライブ編

誌上で県内各地の酒旅を楽しむシリーズ。

今回は中越エリアの4市2町にある12の酒蔵の後編、車で訪ねたい7蔵を紹介する。

このエリアはカタクリや山菜など、雪どけとともに山間地ならではの春の多彩な楽しみが待っている。

雪景色の中に、春の足音を探しながらドライブしよう。

魚沼エリア、里山の酒蔵へ

関越道小出ICから約5分。魚野川沿いにある緑川酒造の創業は1884(明治17)年、代表銘柄は「緑川」。

酒蔵見学は受け付けていないが、販売はOKだ。

魚野川沿いの一面の銀世界の中に酒蔵が建つ風景が美しい。

午前中、米を蒸かす蒸気が煙突から上がる光景が、特におすすめ。

定番酒とともに、年に13月に発売する「霞しぼり」などの限定酒もチェックしたい。

小出駅前の「魚沼の地酒 富士屋」は緑川酒造特約店。魚沼地域の地酒も充実している。

 

お隣南魚沼市にある八海醸造の創業は1922(大正11)年、代表銘柄は「八海山」。

関越道大和スマートICから約15分の「魚沼の里」には、第二浩和蔵を中心に、雪室や飲食店、物販店などが集まる。

雪室見学ツアーも当日受け付けで参加できる(人数制限あり)。

見学ツアーの最後には無料試飲も楽しめるので、ドライバーではない人は、さまざまな味わいを確かめてみて。

ドライバーは館内の売店で、晩酌のお酒やおつまみを選ぼう。

高台には「ライディーンビール」の猿倉山醸造所があり、ガラス越しに醸造タンクを眺めながら、飲食を楽しめる。

 

同じ南魚沼市には、1868(明治元)年に創業した髙千代酒造もある。代表銘柄は「髙千代」。

希少酒米「一本〆(いっぽんじめ)」を種子から栽培している。

蔵のもう一つの銘柄「巻機(まきはた)」の由来となっているのが、蔵の仕込み水の水源でもある日本百名山の巻機山。ふもとの清水集落には「山の宿 雲天」があり、春は山菜、秋はきのこなど、この地の幸が味わえる。この春、宿泊して楽しんでみては。

写真はイメージです。

髙千代酒造は見学・販売は行っていないが、車窓から酒蔵がある風景を楽しみ、蔵から車で約5分の場所にある「上田の郷」でそば打ちやあんぼ作りに挑戦するのもおすすめだ。

芸術の里、越後妻有の酒蔵へ

越後妻有(えちごつまり)の呼び名で親しまれ、大地の芸術祭の舞台となっている十日町市と津南町には、それぞれ2つの酒蔵がある。

十日町市の魚沼酒造1876(明治6)年創業、代表銘柄は「天神囃子」。酒蔵見学可能なので、事前に問い合わせてから出かけよう。

十日町のもう一つの酒蔵、松乃井酒造場は1894(明治27)年創業、代表銘柄は「松乃井」。酒蔵見学はできないが、販売はOK

「松乃井」「天神囃子」ともに、大地の芸術祭をきっかけに誕生したアートボトルがあり、人気を集めている。

道の駅クロステンの売店や「越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)」、「まつだい農舞台フィールドミュージアム」などで販売している。

「天神囃子」アートボトル

「松乃井」アートボトル

 

 

十日町といえば「へぎそば」のメッカ。市内には名店が点在しているので、好みの店で堪能しよう。

写真はイメージです。

さらに十日町は、棚田風景の美しさでも有名だ。

大小さまざまな水田が約200枚も広がる星峠の棚田は、撮影スポットとしても人気。

 

十日町に隣接し長野県境に位置する津南町は、今年積雪4m以上を記録した豪雪地。清冽な雪解け水を仕込み水に、2つの酒蔵が地酒を醸している。

苗場酒造の創業は1907(明治40)年、代表銘柄は「苗場山」。現在酒蔵見学は行っていないが、直営売店での購入や試飲(有料)ができる。

苗場酒造では、2019年の旅館甲子園で優勝した松之山温泉の「酒の宿 玉城屋」オーナー監修で造った「醸す森」が話題を集めている。

「酒の宿 玉城屋」では日本酒ペアリングプランも用意している。

 

津南町のもう一つの酒蔵、津南醸造の創業は1996(平成8)年、代表銘柄は「霧の塔」。

酒蔵見学は可能(前日までに要予約)だが、休止の場合もあるので問い合わせをしてから出かけるのが安心だ。


 

新たに「つなん」シリーズをリリースし、秘境津南で酒を醸すことの存在意義を商品で表現している。

 

越後妻有では129日から313日に「大地の芸術祭の里 越後妻有2022SNOART」が開催され、多彩なプログラムを体験できる。

まつだい「農舞台」で開催中の企画展「手をたずさえる塔」。

雪あそび博覧会。 そり遊びや、雪アート作品の鑑賞など、週末にさまざまなプログラムを開催している。

「越後妻有里山現代美術館MonET」で開催中の「北越雪譜アドベンチャー」の作品。光のアーティスト髙橋匡太さんによる「天空の花畑」。Photo(3点すべて)Nakamura Osamu

パスポートもあるので、リサーチしてから出かけてみよう。

春の足音がかすかに聞こえてきているが、まだまだ油断できないのが新潟の冬。

安全運転で、山間に春を見つけるドライブを楽しもう。この季節しか出合えない、酒蔵の雪景色もいいものだ。酒蔵には雪景色がよく似合う。

cushu手帖』『新潟発R』編集長

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高橋真理子