「日本酒学」、ご存じですか?
新潟から発信する〈世界初の学問〉です。
「日本酒学」とは何なのか――。
10月1日の「日本酒の日」に弊社(ニール)から発売した『cushu手帖2021-22
〈R3BY〉新潟の酒蔵&まちめぐり』では、日本酒学特集を掲載しました。
その際、新潟大学日本酒学センターの10人の先生たちにアンケートを取らせていただきました。その設問の一つが
「日本酒学」とは? 先生ご自身のお言葉でわかりやすくお答えください。
10人の先生のご回答は――。
・日本酒を対象に全学問領域に展開できる学問。
・対象限定、領域横断型の総合科学。
・日本酒を対象とした全学問分野を網羅する世界初の学問領域。
・多様な視点から日本酒を捉えられ、新しい価値の創造が可能な学問だと思います。
・日本酒とは何かを探究する学問。
・日本酒に関して、原料である米の生産から、醸造、消費に至るまで、全ての領域を網羅した学問です。
・一人では解き明かせなかった、まだ知られていない日本酒のよさを、研究者や実務者はもちろん、たくさんの関係者の力やアイデアを借りながら見つけられる場。
・新潟大学発いろもん的学問。
・日本酒に関わる包括的で領域横断的な学問領域。
・日本酒について文化、経済、医学、生物学などさまざまな学問の窓を通して学び、日本酒の未来を考える学問というように捉えています。
先生方の言葉から、日本酒学を身近に感じていただけたら……。
2017年に新潟県、新潟県酒造組合、新潟大学が「日本酒学」構築のために連携協定を結び、2021年4月には新潟大学五十嵐キャンパス内に「新潟大学日本酒学センター」が開所しました。
館内にはパネルによる日本酒学の紹介や,県内全酒蔵の代表酒の展示コー ナーなどがあります。
展示スペースは下記開館時間に自由に見学できます。
開館時間:9:00~16:00 休館日:土・日曜・祝日
アクセス
2018年4月から新潟大学の学生向けの日本酒学講義が始まり、2022年度からは大学院のコースも開講します。
一般に向けても日本酒学シンポジウムや新潟大学公開講座、にいがた市民大学での特別講座も開講しています。
11月25日には「第1回日本の酒シンポジウム」が開催されます。
12月3日~24日(金曜、全4回)に開催予定の、令和3年度後期の新潟大学公開講座「日本酒学ことはじめ」の受講申し込みも始まっています。
Youtubeより配信されます。受講料4,400円(大学生以下無料)、募集50人程度。
締め切りは11月19日(金)です。
申し込み:
日本酒学センターの10人の先生方は「醸造ユニット」「社会・文化ユニット」「健康ユニット」の3分野に分かれています。
今年の夏、社会・文化ユニットの渡辺英雄先生と畑(はた)有紀先生に「本間文庫にいがた食の図書館」を利用いただきました。
お二人とも熱心に、酒や食、歴史に関するさまざまな書籍を閲覧していました。
渡辺先生の研究分野は「地域社会と法」。日本酒学では「日本酒のマナー」の講義を担当されています。
プライベートでは新潟清酒金の達人としても活躍されています。
畑先生の研究分野は「日本文化史」。日本酒学では、現在の日本酒の原型が生まれた室町・江戸時代にお酒が物語や絵画にどのように描かれたかを解説しています。
畑先生が執筆した論文が掲載されている『酔いの文化史』と『『酒飯論絵巻』の世界』
『酒飯論絵巻』より
また現在、オンラインミュージアム「國酒デジタルミュージアム」に、畑先生が執筆した浮世絵と酒についての解説が掲載されています。
【解説】今と変わらず?酒癖の数々
【解説】酒を商う
「國酒デジタルミュージアム」は、日本酒造組合中央会が今年10月1日にグランドオープンした、國酒(日本酒、本格焼酎、泡盛、本みりん)を歴史文化的側面から紹介するオンラインミュージアムです。ぜひお楽しみください。
最後に余談になりますが、今年6月19日から8月22日まで「日本酒学展」が開催された「新潟大学旭町学術資料展示館」についてご紹介を。
「新潟大学旭町学術資料展示館」の建物は1929年に新潟師範学校記念館として建てられ、国の登録有形文化財に認定されています。昨年から改修工事を行い、そのリニューアルオープン記念として「日本酒学展」が開催されました。
「日本酒学展」展示の一部
新潟大学日本酒学センターの先生方が取り組んだ研究成果を新潟県酒造組合と新潟県醸造試験場の協力で披露されました。
展示館には常設展示もあり、新潟大学の学術研究の歴史を伝える興味深い資料を展示・公開しています。
1階にはトキ剥製も展示
2階の人類史展示室の展示
レトロな雰囲気の建物もすてきですので、ぜひ足を運んでみてください。
ニール
高橋真理子