おいしさの秘密 新潟の酒と仕込み水の関係

仕込み水の特徴

新潟の酒蔵の仕込み水は、ほとんど軟水です。軟水は「溶けている成分」つまりミネラル分などが少ない水のことです。軟水は、お酒が仕込まれて醗酵するときに、酵母菌のはたらきを助ける役目をします。この成分の少ない軟水は醗酵がゆっくり進み、できあがったお酒は、キメ細かいお酒になるのです。

厳選された水を使用

お酒の仕込みに使用する醸造用水は良質の水でなければいけません。良い水が良いお酒造りの決め手であると言っても過言ではありません。醸造用水は国が定めた水道水の基準より、ずっと厳しく厳選された水です。

次がその例です。

水道水基準 醸造用水指標
鉄 ppm 0.3以下 0.02以下
マンガン ppm 0.05以下 0.02以下
色度   無色透明
臭・味 異常のないこと 異常のないこと
有機物 ppm 5以下 5以下

(増補改訂 最新酒造講本,p31.33(財)日本醸造協会(新版4刷2019/1/30))

軟水のメリット

水には硬水と軟水の区別があり、硬水は硬度が高く、カルシウムとマグネシウムが多いものを言います。軟水はその逆です。硬度の成分は、醸造過程で酵母の栄養源になります。栄養源の少ない水は、酵母での醗酵がおだやかでキメ細かいタイプのお酒になります。新潟のお酒が淡麗辛口といわれるわけはこの水のおかげです。

名水鑑定人、佐々木健教授(広島電機大)は次のように分類しています。

硬度(mg/l)
5以下 超軟水 自然水ではまれで雨水など
5~50 軟水 名水が多い
50~150 中硬度水 酒造用水が多い
150~300 通常硬水 市販ミネラル水など
300以上 硬水 外国の水に多い。日本人には飲用不適

※新潟県の醸造用水の平均値は40位です。

酒造りにおける水の使用工程

日本酒造りには、たくさんの水が必要です。商品としての日本酒の量の20倍~30倍と言われます。50倍の水が必要だと言う技術者もいる位です。そんなにたくさんの水は、いったいどのようなところで使われているのでしょう?

それを分類してみました。

日本酒に入るもの 日本酒には入らないもの
  • 原料米に含まれている水分 ※
  • 洗米水
  • 米の浸漬水
  • 仕込水(原料)
  • 割水用水(原料)
  • 酒蔵内外の洗浄水
  • 醸造機器の洗浄水
  • 洗壜水
  • ボイラや釜の水

※以外の水は、すべて酒蔵の水です。

水の宝庫、新潟の強み

新潟県は、とっても水に恵まれています。その理由のひとつが雪です。冬、海から湿気を含んだ空気が日本列島を超え太平洋側へ移動する際、新潟にたくさんの雪を降らせます。その雪は、盛夏でも残雪となって山岳地帯に残るほどです。それが次第に溶けだし、新潟県内の川を流れます。この水がやがて酒蔵の井戸によみがえり、醸造用水になるのです。

新潟県内には、たくさんの川が流れていますが、主な川を北から順に並べてみました。

  1. 三面川(みおもてがわ)
  2. 荒川(あらかわ)
  3. 加治川(かじがわ)
  4. 阿賀野川(あがのがわ)
  5. 魚野川(うおのかわ)
  6. 信濃川(しなのがわ)
  7. 関川(せきかわ)
  8. 姫川(ひめかわ)