「豊かな時を醸す。」「酒と地域の未来に貢献する。」を使命とし、更なる品質向上に努めてまいります。
キレがあって飲み口がよく、最後まで飲み飽きることなく味わえる、そんな「最高の酔い心地」を誘う『越乃寒梅』。醸造元の石本酒造は、いつの時代も頑なに旨い酒にこだわり続けてきた
その強い信念は、創業から110余年を経た現在も一切ブレることはない。
産地と品種にこだわり吟味した米を磨き込み、最上の環境下でじっくりと醸す。「吟醸造り」を基本とする石本酒造の酒造理念は、戦中戦後の国の統制や地酒ブームといった時代の波に翻弄されても、変わることなく受け継がれてきた。
2016年、45年ぶりに発売された新商品『越乃寒梅 純米吟醸 灑(さい)』は、これまでにないライトな飲み口が特⻑だが、米本来の旨みと飲み飽きしない味わいには、酒造りへの一貫したこだわりが感じられる。
それは、創業110周年を迎えた2017年、溢れんばかりの感謝を込めて醸した「越乃寒梅 創業百十周年祝酒 一輪一滴」も然り。
繊細な中にある凛とした佇まいからは、「『越乃寒梅』の変わらぬ味わい」を求めて進化を重ねる蔵元の強い意思が垣間見える。
厳冬の寒さに耐えて花開く「寒梅」のように、造り手たちがひとしずくの美酒を醸すために丹精を込める。石本酒造の酒の味わいには、そんな蔵元の理念が浸透している。
石本酒造では2015年、蔵のおひざ元である⻲田郷(かめだごう)大江山地区で、夏季に農業を営む蔵人を中心に製造部の社員らと協力して酒造好適米「五百万石」の栽培研究を始めた。
創業以来、原料米の産地と品種にこだわってきた蔵元にとっては、「地元の酒米も使い、より品質の高い酒を醸したい。ひいては地元の人たちの誇れる酒となり、日々気軽に楽しんでほしい」との積年の想いが実った形だ。
4代目蔵元で代表取締役の石本龍則さんは、「こうした取り組みは、より品質の高い米を求めて酒造りに臨んできた石本酒造の原点。このたびようやく、地元の米で『越乃寒梅』が造れるようになったのです」と感慨深げに話す。
出来上がった酒は原料米の収穫量の関係から新潟県のみの販売だが、米作りを通して得た経験や酒造りにつながる知識は、今後の『越乃寒梅』の酒造りの糧となることだろう。
変わらぬ酒造理念、変わらぬ『越乃寒梅』の味を時代とともに進化を経て今に受け継ぐ。石本酒造では、出稼ぎによる杜氏制度から社員が手がける酒造りへと形態を変えた現在も、社員一同「同じ釜の飯」を食べて蔵人同士のコミュニケーションを図っている。
「毎日の昼食時に社長と同じ食事をとり、同じものを飲んで、味覚の物差しを共有するのです」と、竹内杜氏。食の話題に花を咲かせることもまた、彼らにとっての和醸良酒に繋がっているのだ。
日々のこうした積み重ねとともにこれまでも育まれてきた、『越乃寒梅』の酒。そして、時代が変わり、造り手や飲み手の世代が変わろうとも、根幹にある酒造りの精神と品質は、決して変わることはない。
石本龍則代表取締役:近年、新商品やリニューアルなどを通して、商品のラインナップが変わりつつあります。長らく『越乃寒梅』をご愛飲くださっている方はもちろん、これまで接点があまりなかった方にも商品を手に取り味わっていただくきっかけになれば幸いです。
ラインナップが変わったとはいえ、原料にこだわり、技術を駆使して醸す酒造りの姿勢や、「最高の酔い心地」をお届けするコンセプトは、決して揺らぎません。私たちが手がけた酒に一貫する、変わらぬ本質をぜひ感じてください。
蔵元が自信をもってお勧めするお酒をいくつか紹介しよう。
地元の感謝を表す、冬のお楽しみ。
越乃寒梅の地元、新潟市亀田郷大江山地区で栽培された「五百万石」を、吟醸酒に匹敵する精米歩合58%まで磨き上げた、冬の限定酒です。「長年ご愛顧いただいている地元のお客様に楽しんでもらいたい」そんな感謝の想いから誕生しました。新潟県内地域限定商品。
新感覚の純米吟醸酒。
45年ぶりの通年新商品として誕生した純米吟醸酒。精米歩合55%の五百万石と山田錦を使用し、穏やかな吟醸香とスムーズで柔らかな味わいが広がるのが特徴。米の旨味を感じやすい純米酒でありながらも、「灑(=綺麗にさっぱり洗い流す)」の名が表すように、ライトで飲みやすく、飽きの来ない味わいに仕上げています。
長年親しまれる、淡麗辛口の代表格。
香り・味ともに軽やかな特徴を持つ酵母と、酒造好適米のみで醸される、軽快でスッキリした味が特徴です。口当たりが良く、越乃寒梅の中で最も「淡麗辛口」と呼ぶにふさわしい吟醸酒で、常温や冷やで飲むと爽やか、ぬる燗では味の幅の広がりをお楽しみいただけます。
取材・文 / 市田真紀