「錦鯉ボトルの日本酒」はなぜ生まれた?今と昔、人と人を結ぶ「酒の力」とは
今代司酒造

今代司酒造IMAYOTSUKASA shuzo

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PICK UP 2018

念願だった『牡蠣に合うお酒』が完成。お出しできることになりました。楽しみにしていらしてください!

食通に鍛えられた酒

明和4(1767)年創業。本格的に酒造業に取り組んだのは、明治中期のことだ。蔵のある沼垂(ぬったり)という地区には酒造に適した水があり、港が近く酒の運搬に便利だったことなど、好条件が揃っていた。
かつては日本の表玄関だった日本海に面する町。北前船の航路もあり、発展した町は多い。その中でも、米どころという地の利を背景にひと際栄えたのが新潟市だった。
新潟県は、幕末から明治にかけては、江戸を超える人口だったという。
新潟市には日本で三指に入ると言われた花街があり、そこに集う舌の肥えた料理人や旦那衆をも唸らせる酒を、と励み、鍛えられてきた酒蔵だ。
高級店ほど、食事を引き立てる良い食中酒を求めるもの。すっきりと淡麗な、新潟らしい味が確立され、今に引き継がれている。2006年からは、さらに良い水を求めて、越後菅名岳の天然水を運び、使用している。

希少な「全量純米造り」の蔵

歴史を語る品々が並ぶ酒蔵内の見学コース

純米酒をメインとしている蔵もまだ少ない新潟にあって、2006年から全量純米の特定名称酒のみに切り替えた今代司。純米酒ならではの米の旨みが生きた味と穏やかな香りの食中酒が揃う。
それに加え、すっきりと軽やかに仕上がっているのは、越淡麗や五百万石といった淡麗に仕上がる新潟県産酒米を使っていること、そして高い技術のたまものだ。

発酵食品の街・沼垂地区で時代にあった酒の楽しみを創造

今代司酒造株式会社 代表取締役社長・田中洋介さん

2014年から、大手情報出版社出身の田中洋介氏が社長に就任。今の時代を司るという「今代司」を、「常に時代と共に」=「今の時代に合った酒とその楽しみ方を提供する」、と解釈し、次々と斬新で魅力のある作品を発表している。
田中社長:この、沼垂(ぬったり)という地区は、かつて港町で、いろんな文化が入ってきた入り口であり、新しい文化と長く続く伝統が混ざり合って新しいものが生まれてきた場所。常に時代を捉えてきた場所なのです。
そこで長く酒蔵としてやってきたことの意義は大きいと思います。だからこそ、時代に合った新しいものを取り入れて、生み出して、発信していかなければならない。
「『今代司』があってよかったね」、とみなさんに言っていただけるような会社になれたら、と思っています。

蔵見学で新潟酒を良い思い出に

スタイリッシュにディスプレイされた見学コース
木桶仕込みはこの桶から。数も増やしたい

同社が酒を通して成したいこととして掲げているのが、「結ぶ」ということ。古(いにしえ)と今、人と人、地方と都市、それらを結ぶ酒でありたい。 数年前に一帯の区画整理があり、それを機に歴史と伝統を尊重しつつ、現代にも適した形の社屋に改築した。
その際、蔵見学も積極的に受け入れることとし、見学コースがセンス良く見やすく整備されている。
それは、新潟駅からも徒歩15分という近い場所にあり、新潟を訪れた人たちにとっては入り口、そして、最初に出合う酒蔵となるだろう、ここで、新潟酒の良さを知って持ち帰ってほしいという想いから。
歴史を感じさせる展示物は、現代と古を結び、同時に、訪れた人たちと新潟を結ぶ一つの形でもある。蔵元が自信を持って勧める日本酒を、いくつか紹介しよう。

取材・文 / 伝農浩子