「錦鯉ボトルの日本酒」はなぜ生まれた?今と昔、人と人を結ぶ「酒の力」とは
ふじの井酒造

ふじの井酒造FUJINOI shuzo

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PICK UP 2018

「にいがた酒の陣 2018」では、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

ふじの井酒造の創業は、1886年とされている。しかし、代表取締役の小林政輝さんによると「蔵の歴史自体はもっと古い」という。

歴史的大火を乗り越えて

じつはこの年、蔵のある藤塚浜一帯が大火に襲われ、現存する一号蔵以外の建物が全焼。
蔵の創業年などが記された寺の過去帳も損失したため、同年を創業年とした背景がある。
幸い難を逃れた一号蔵は、その後江戸末期~明治初期の建物と判明。今なお現役で使われており、厳寒期には大吟醸酒や純米大吟醸酒の仕込みが行われる。
波乱を乗り越えて歴史を繋いだ先人に感謝し、当時の造り手に敬意を払いながら丁寧に醸す。ふじの井酒造の酒には、そんな造り手の誠実さがあらわれている。

岩船産の「越淡麗」や「五百万石」を使った酒造り

良質で豊富な水量を誇る「不二の井戸」は、蔵内にある

地の米、地の水、地の技。銘酒『ふじの井』は、まさに「オール新潟」で醸された地の酒だ。 原料米には、コシヒカリの三大産地のひとつに数えられる岩船産の「越淡麗」や「五百万石」を使用。
酒に滑らかな口当たりとまろやかな味わいを与える水は、この地に古くから伝わる「不二の井戸」から汲み上げた豊富で良質な軟水が用いられている。
そして、これら風土の恵みが「越後杜氏」の技を受け継ぐ蔵人によって丁寧に醸し上げられ、その多くが新発田市を中心とする下越地区で愛飲される。

地の米、水、技で醸す真の地酒

江戸末期~昭和の時代に建築された蔵が立ち並ぶ、ふじの井酒造

「これこそが、私たちが目指す『地酒の中の地酒』なのです」と、小林社長は、胸を張る。一杯の酒に凝縮された地域の風土や文化を味わう。そんな地酒の醍醐味を表現した銘柄こそ、「ふじの井」なのだ。
小林社長:『ふじの井』を醸しているのは、製品管理部部長の小池悟(冒頭写真左)をはじめとして、40~60代の蔵人5人。全員が酒造技能士もしくは新潟清酒学校の卒業生で、酒造経験は20年以上を誇ります。また、このうち1人は大吟醸酒などに使う原料米「越淡麗」の栽培も手掛けています。
歴代の越後杜氏から学んだ技を大切にするのはもちろん、「毎年が一年生」との謙虚な気持ちを忘れずに、これからも良酒を醸し続けます。

「オール新潟」で醸す贅沢を、日常酒に

「『ふじの井』の認知度は決して高いものはありません。だからこそ、飲み手が心から美味しいと思う酒を醸していきたいのです」。銘柄への想いをこう語った小林社長は、“オール新潟”で醸す贅沢な酒を手ごろな価格で提供し続けてきた。
中でも本醸造酒は価格こそリーズナブルだが、原料米は精米歩合60%と吟醸酒並みに磨き込むなど、造り手のプライドが垣間見える。
蔵には最新鋭の設備こそないが、この地の恵みを存分に受け、飲み手のためにと真摯に打ち込む酒造りに、小林社長や蔵人たちは大きな喜びを感じている。
日々の食事とともに味わう楽しみや、お気に入りの酒を大切な人に贈ることができる幸せを、ふじの井酒造はこれからも酒に込めて届けてゆく。
蔵元が薦めるお酒を紹介しよう。

取材・文 / 市田真紀